2016年は戦略に注目!2015年掲載コンテンツから今年の展望を考える

2012年5月に立ち上げ、今年で5年目に突入した、コンテンツマーケティングラボ。年末には書籍「Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書」も刊行し節目の年となった。このような活動もこのサイトで更新し続けたコンテンツあってこそ。そこで今回は、2015年に更新した18本の記事を「コンテンツマーケティングの考え方を紹介する記事」「コンテンツマーケティングの周辺の話題」「国内のコンテンツマーケティングの盛り上がりを紹介する記事」と3項目に分類しながら振り返ってみたい。

コンテンツマーケティングの考え方が詳しく理解できる記事(8記事)

Content Marketing Worldのレポート

毎年秋に開催される世界最大級のコンテンツマーケティングイベントContent Marketing World。2015年も例年同様コンテンツマーケティングのゴットファーザーJoe Pulizzi氏を中心としたキーノートプレゼンテーションを速報として掲載した。アメリカにおける「コンテンツマーケティングの今」が把握できる。

1. 淘汰の時代到来!? Content Marketing World2015で語られた処方箋とは?

国内で盛り上がるコンテンツマーケティングを4つの類型に整理

2014年10月7日に刊行された雑誌、Content & Publishing 編集会議 2014年秋号 における特集「コンテンツマーケティングで広がる編集者の可能性」で寄稿した記事「4つの型を知って、正しく実践!失敗しない「コンテンツマーケティング」をベースに、当時、誌面の関係で掲載しきれなかった内容を追加し「完全版」として公開した。

2. コンテンツマーケティングの4つの型

この記事では企業が伝えたいことと生活者が知りたいことのギャップをどう埋めるか、という観点からコンテンツマーケティングを「エデュケーショナル型」「コンテンツSEO型」「ネイティブ広告型」「面白コンテンツ型」と4つの型に分類している。俯瞰的にコンテンツマーケティングを理解するのに有用だ。さらに詳しく知りたい方は、昨年12月に弊社が刊行した「Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書」を参照いただきたい。この本の中では、この類型の考え方をさらに膨らませ、具体的な国内外の事例を交え12ページを割いて紹介している。

1年遅れで日本でも話題に!コンテンツショック論争を紹介

2014年1月、著名なコンテンツマーケターによる「コンテンツマーケティングは、そのうち効果が薄れるのではないか?」という問題提起から始まったContent Shock(コンテンツショック)論争。コンテンツマーケティングラボでもいちはやくキャッチアップし2014年春に細かく解説してきた。

コンテンツマーケティング業界に衝撃、“Content Shock”とは?

コンテンツマーケティング限界論に反響の嵐、著名マーケターらも反応

Content Shockを乗り越える…議論を経て見出された唯一の方法とは?

2015年春に、国内のSEOやコンテンツマーケティング系ブログで紹介され、国内コンテンツマーケティング業界ではちょっとした注目のキーワードになった。そんな状況を受けコンテンツマーケティングラボでは2014年秋に開催されたContent Marketing World2014内セッションで繰り広げられたコンテンツショックにまつわる論争の詳細を紹介した。

登壇したのは問題提起を行ったMark Schaefer氏と、当初からこの主張に対して否定的だった著名なコンテンツマーケターMarcus Sheridan氏。日本ではMark Schaefer氏のセンセーショナルな主張ばかりが取りあげられる傾向にあったが、「愚直に見込み客の疑問に答えることが重要」とコンテンツマーケティングを捉えるMarcus Sheridan氏が感じるコンテンツショック論の違和感にも耳を傾けておきたい。

3. Content Shock論争再び!コンテンツマーケティングの本質を2大著名人が激論

・・ちなみにこの記事には後日談がある。議論したこの2人がこの記事を見つけシェアし合ったのだ。

どうやらGoogleの翻訳機能を使って読んだそうである。まさかアメリカから遠く離れた日本にてこの議論が取り上げられていたとは思わなかったに違いない。

ブランドジャーナリズムをどうコンテンツマーケティングに位置付けるか

企業を知ってもらうため、企業が自身のストーリーを語る「ブランドジャーナリズム」。一見するとコンテンツマーケティングとも似ているこの概念をどう捉えるべきなのか。ブランドジャーナリズムを紹介しながらその違いについて整理した記事を紹介した。

4. コンテンツマーケティングの普及により、再び注目を集め始めている「ブランドジャーナリズム」とは?

効くコンテンツとは何なのか

コンテンツマーケティングを行う以上、ビジネスゴールに貢献しなくては意味がない。コンテンツマーケティングを実践していくにあたり、「効くコンテンツ」と「効かないコンテンツ」の差はどこにあるのだろうか。「リソースコンテンツ」という考え方を引き合いに出しながらその差を明らかにした記事を紹介した。

5. 単なるお役立ち記事では不十分!成果につながるコンテンツマーケティングとは?

またひとつのコンテンツだけで目標を達成するのはなかなか難しい。コンテンツを組み合わせながら見込み客の態度変容を促していくのがコンテンツマーケティングの王道だ。ではどう組み合わせていくと効果的なのだろうか。ここでは「Hub & Spokeモデル」という考え方を紹介しながらブログやeBook、SNSなどの組み合わせ方を紹介している。いま注目されているマーケティングオートメーションとの親和性も高い考え方だ。

6. コンテンツの“無駄打ち”から脱却を!コンテンツを効果的に組み合わせる「Hub & Spokeモデル」とは?

コンテンツマーケティングの運用で煮詰まらない!おすすめアイデア発想法

プロジェクトを運用していくと、新しいコンテンツのアイデアを考えることに頭を悩ますことが多い。そこで既存の公開しているコンテンツをヒントに新しいコンテンツを考えていく手法を紹介した。現場の担当者にとって非常に役立つのではないだろうか。

7. 闇雲にコンテンツを作らない!現状把握から始まるコンテンツ発想法

事例からコンテンツマーケティング戦略を学ぶ

コンテンツマーケティングでは戦略が大事、とよく言われる。この戦略と実際のコンテンツはどう関連しているのだろうか。特徴的なコンテンツマーケティングを実践する3社(Intelligentsia Coffee、Wistia、Whole Foods Market)の事例をもとにコンテンツの背景にある戦略を分析した。

8. 戦略的なコンテンツマーケティングとは?3つの事例から秘訣を学ぶ。

コンテンツマーケティングの周辺の話題(3記事)

コンテンツマーケティングラボへお問い合わせをいただくクライアントの中には実際コンテンツマーケティングを実施するにあたって、「運営の際にモバイル対策はどうしたらよいのか」「運用効率化の観点でCMSの導入を考えたい。どのように選んだら良いのか」というお問い合わせをいただくケースが多い。そこで、モバイル対策として注目を集めるレスポンシブWebデザインやコンテンツマーケティングを検討するにあたり一度は検討するCMSについて、それぞれの有識者の方に協力を頂き解説いただいた。

レスポンシブWebデザインについて

9. デバイスからユーザーへ…レスポンシブWebデザインの先のWebのあり方とは?

※2014年に公開した記事ですが以下も参考にしていただけると理解が深まります。

コンテンツストラテジスト必見!レスポンシブWebデザインがアツい理由

レスポンシブWebデザインのワークフロー、デザイニングインブラウザとは

レスポンシブWebデザインを語る上で欠かせない!コンテンツストラテジストが知っておくべき「HTML5」のポイント

「モバイルファーストからコンテンツファーストへ」レスポンシブWebデザイン専門家が語る、コンテンツの捉え方

コンテンツマーケターがどうCMSをどう把握しておくべきか

10. コンテンツマーケッターが知っておきたいCMS入門(1)CMSの基本

11. コンテンツマーケッターが知っておきたいCMS入門(2)CMS導入時に気をつけるべきこと

日本国内のトレンドを紹介する記事(7記事)

2015年は国内でもコンテンツマーケティングに関するセミナーが増えてきている印象を持った年でもあった。セミナーの中には、コンテンツマーケティングラボとして取材させていただくケースの他に、登壇者として関わることも多かった。多面的に国内におけるコンテンツマーケティングの盛り上がりを感じ取ることができた。

動画制作における現場の声を学ぶ

ビジネス・アーキテクツ社主催のセミナー「動画コンテンツを考える。設計から、企画、制作、運用まで」を取材させていただいた。事業会社の担当者も登壇し、非常に動画の今がわかるセミナーだった。特にセミナー内で紹介されたYouTubeによる動画のフレームワークは今後動画を制作するにあたり有用だろう。

12. YouTubeの動画戦略フレームワークで考える動画コンテンツの今

日本印刷技術協会(JAGAT)主催イベントpage2015より

公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)が主催する、印刷メディアビジネスの総合イベント page2015を取材させていただいた。当サイト編集長の野口がモデレーターを務めた人気メディアの「中の人」とのコンテンツマーケティングに関するセッションや、ニコニコ動画や資生堂の担当者が登壇した動画のセッションをレポート。

13. ナタリー、弁護士ドットコム、サイボウズ式……人気メディアの中の人が語る、コンテンツマーケティング実践の裏側!

14. 事例から戦略立案テクを学ぼう! ターゲットに届く動画コンテンツの作り方

Ginzamarkets社が主催するセミナーより

弊社も利用しているコンテンツマーケティングとSEOの管理プラットフォームGinzametricsを提供するGinzamarkets社が主催するセミナーを取材させていただいた。登壇するたくさんの担当者が紹介する事例から、その背景にある考え方が学べた。

15. コンテンツマーケティングを実践する9社が語る見込み客の心をつかむ方法

16. 事例から学ぶ! コンテンツマーケティングを成功に導くSEO対策とは

In-house SEO Meetupセミナーレポート

企業内SEO担当者向けのネットワーキングイベント「In-house SEO Meetup」内で紹介された株式会社はてなと株式会社ガリバーインターナショナルによる取り組みをレポート。

17. 第一線のウェブ担当者たちは、検索流入をどう考えているのか?

有名Webメディアの「中の人」を取材

インテリジェンス社が手がけるオウンドメディア「“未来を変える”プロジェクト」をプロデュースする「中の人」にインタビューを行った。メディア立ち上げの背景からメディアの考え方、そしてコンテンツ開発の方法論まで詳しく取材させていただいた。

18. 成功の秘訣は場づくり…インテリジェンス社が手がけるコンテンツ開発の極意!

ここまで2015年の更新コンテンツ18本を紹介してきたがこれらコンテンツへのアクセス状況はどうだったのだろうか。以下に2015年のアクセスランキングをまとめてみた。

ランキング 記事タイトル 公開年
1 コンテンツマーケティングとは何か? 2012年
2 第一線のウェブ担当者たちは、検索流入をどう考えているのか? 2015年
3 コンテンツマーケティングの4つの型 2015年
4 人を動かす6つのアプローチ、「影響力の武器」とは? 2014年
5 「モバイルファーストからコンテンツファーストへ」レスポンシブWebデザイン専門家が語る、コンテンツの捉え方 2014年
6 今さら聞けない!コンテンツマーケティングの基本の「キ」 2014年
7 戦略的なコンテンツマーケティングとは?3つの事例から秘訣を学ぶ。 2015年
8 コンテンツの“無駄打ち”から脱却を!コンテンツを効果的に組み合わせる「Hub & Spokeモデル」とは? 2015年
9 「普及曲線」からコンテンツマーケティングを考える 2012年
10 闇雲にコンテンツを作らない!現状把握から始まるコンテンツ発想法 2015年

興味深いのはベスト10ランキング中半数が2015年に更新した記事に入れ替わった点だ。FacebookやTwitterのフォロワーが増えてきていることもあり、コンテンツの更新情報が多くの方に届きやすくなったことや、記事内で取り上げた事例の関係者のかたが積極的に紹介していただいたなどの要因が重なっている可能性も否定できない。しかし新たにランクインした記事を改めて眺めると、コンテンツマーケティングを知った上で、一歩踏み込んで国内外の事例を引き合いに出して解説している記事が目立つ。概念だけでなく、自社のビジネスをドライブさせるためにどうコンテンツマーケティングは貢献できるのか、もしくはいま実践しているコンテンツマーケティングをよりよくするための具体的な手法を求めている、そんな印象をうける。いまコンテンツマーケティングは、ある程度の理解が進み、様々な期待が込められている時期と捉えることができるだろう。

しかし「淘汰の時代到来!? Content Marketing World2015で語られた処方箋とは?」で紹介したように、先進国アメリカでは、この期待のピークはすでに超え、膨れあがった期待に対して幻滅する時期にさしかかっているといわれている。成功事例だけでなく失敗事例も多く出現するだろう、と。そしてこの成否を分けるのが戦略の有無だ、と指摘している。

いずれ日本でも膨れあがった過度の期待が弾け、幻滅する時期が到来するかも知れない。そのときに備え、コンテンツマーケティングラボでは、この戦略の重要性を常に意識しながら今年も多くの情報を発信していきたいと考えている。

本年もどうぞよろしくおねがいいたします。

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