まだ間に合う!2014年の必読コンテンツマーケティング必読記事まとめ

国内の企業やブランドもコンテンツマーケティングに積極的に取り組むようになり、たくさんの事例が見られた2014年。当サイトでも日々その実態や成果を分析し、海外と比較しながら、コンテンツマーケティングのあるべき姿や、さらなる可能性について研究してきた。今回は2014年に公開した記事から、「キーワード」「事例紹介」「インタビュー」の3部門における編集部の一押し記事を紹介する。ぜひ2015年の戦略に活かせるヒントを見つけてほしい。



目次

2014年を象徴する「キーワード」は、「カスタマージャーニーマップ」と「コンテンツショック」

Customer Journey Map ~カスタマージャーニーマップ~

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複数のチャネルを行き来する、複雑な顧客体験を可視化し、顧客がどんな体験や心理の変化を経て購買へ移行していくのかをまとめたものが「カスタマージャーニーマップ」だ。このフレームを取り入れることで、見込み客に起こる出来事や、彼らが起こすアクション、そのときに発生する関心事など、購買プロセスの全体像を把握することができる。

記事の中では、顧客の“体験”をベースにコンテンツ戦略を組み立てている具体的な事例を紹介しながら、横軸を購買プロセス、縦軸をペルソナに設定したマトリクスの活用例も提示。見込み客の購買行動にあわせた情報発信をするためにも、ぜひ取り入れたいフレームが学べる記事となっている。

企業がいかに商品を「売っていくか」を整理した“販売プロセス”から、顧客目線で購買までの道のりを洗い出す“購買プロセス”へのシフトが、マーケターの間で感じられるようになった2014年。その中で注目を集めたのが、この記事でも紹介した「カスタマージャーニーマップ」だ。

元々、UXの世界で活用されてきた手法だが、この顧客体験の分析は、コンテンツマーケティングにおいても大きな力を発揮する。ターゲットの「体験」をベースに戦略を考えることで、見込み客が購買に至るまでに起こす「アクション」や、心に抱く「関心」や「感情」を、フェーズごとに把握することができ、その流れに沿う効果的なアプローチが可能になるのだ。「特定の情報だけ読んでほしい」と企業が一方的に内容を押し付けるようなコンテンツや、「なんとなく必要そう」といった狙いが曖昧なコンテンツを避けるためにも、ぜひ一読してほしい。

Content Shock ~コンテンツショック~

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2014年の年明け早々、コンテンツマーケティング界を騒がせた“Content Shock”論。これは、「急激に増加するコンテンツの量が、人々が情報を消化できる量を超える現象が発生し、マーケターにとって情報伝達が難しい時代」が来る、というものだ。著名なコンテンツマーケターであるMark Schaefer氏が提唱したものであっただけに、業界でも大反響を呼んだこのトピックを、当サイトでも3つの記事を通して扱い、Schaefer氏の論点を紹介した。

中でも押さえておきたいのが、Content Shockがコンテンツマーケティングに及ぼす影響についてだ。Schaefer氏の主張は以下の3つである。

  1. たくさんのブランドや企業がコンテンツを発信するようになると、量・質共に充実したコンテンツを提供したものが勝者となる。そのため、資金力のある大手企業が有利になる。
  2. 競合となるコンテンツがたくさん出現し、新規参入が難しくなる。
  3. コンテンツが増えるにつれ読ませたいコンテンツが埋没してしまうため、集客にもコストがかかり、費用対効果が悪化する。

また、連載の中ではこれらの主張に対するコンテンツマーケターの共感意見や反論コメントなどにも触れながら、Content Shockを乗り越えるための唯一の方法として、「競争の少ないニッチな市場を見つけ、そこに質の高いコンテンツを数多く投入する」ことを詳しく解説した。

日本に先駆けてコンテンツマーケティングが広まったアメリカでは今、あらゆる企業がコンテンツを量産している状態であり、それに対する警鐘を鳴らしたのがSchaefer氏だ。国内でもキュレーションメディアやまとめサイトなど、コンテンツを発信する場が増加傾向にあり、Schaefer氏の主張は決して否定できないものなになりつつある。

記事の中でも触れたように、世の中のコンテンツが増えるほど、企業にとっては狙ったターゲットにリーチしにくくなる。また、商品やサービスとしては競合でないとしても、情報ソースとして競合したり、企業ではなく個人と競合となるケースも増えている。コンテンツ競争が激しくなっているからこそ、勝ち抜くためには“戦略”を明文化し、より具体的にどんなニーズをもったターゲットを狙いたいのかを定めておくことが欠かせないだろう。その重要性を再確認するためにも、読み返しておきたい記事だ。

2014年の最先端が学べる「事例紹介」は、「ゼロックス」や「ティファニー」

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  1. ブランド価値を“正しく”伝えるためのコンテンツマーケティング活用法

コピー機メーカーとして非常に高い認知度を誇るゼロックス社。実は、コピー機以外にも人材派遣や流通サービスなどの様々なビジネスソリューションを提供しているのだが、それらが世間にほとんど認知されていないことが大きな課題となっていた。このような「企業(ブランド)の“名前”は広く認知されているが、企業(ブランド)が提供する“価値”が正しく伝わっていない」というケースに対して、同社が行ったコンテンツマーケティングを活用したブランドの再定義の実例を記事の中で紹介。

ポイントは、ブランドイメージを変化させたいターゲットをセグメント化し、それぞれのセグメントに対してニッチな情報を配信した点だ。ブログや外部メディアのコラムなど幅広いチャネルを活用しているが、中でも注目すべきは、医療事務関係者向けのマイクロサイト。医療という広いトピックではなく、あくまで医療事務や医療経営に関わる人の興味範囲に絞ったコンテンツのみを展開した。ゼロックスが医療業界のノウハウや専門知識を持っていること、電子カルテなどの医療ソリューションを提供していることを、狙ったターゲットに的確に届けることができたという成功事例から、「ブランドの再定義」の具体的なノウハウが学べる記事となっている。

当サイトの読者からは、この事例記事に対して「わかりやすかった」という声が多数寄せられた。企業(ブランド)が提供している“価値”が思惑通りに市場に伝わっていない、と悩むコンテンツマーケターも多い。この記事で取り上げた、「企業価値を正しく伝えることに加え、さらにその分野における知見を発信することで、プロフェッショナルとしての立ち位置を確立していく」ためのアプローチは注目に値するものだ。

また、ウェブサイトの評価基準=PV数という固定観念にとらわれることなく、各コンテンツの戦略上の役割を理解し、評価基準を設ける手法もとても参考になる。自社でメディアを運営し、コンテンツを通して関係構築を図る上で、ぜひ参考にしたい記事だ。

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  1. 購買の後押しだけではない!ニーズ発生前から始めるコンテンツマーケティングとは?

商品ニーズが発生してから購入に至るまでの流れを追う購買プロセス。コンテンツマーケティングでは「購買プロセスに沿ったコンテンツの配置」を語ることが多いが、実はその前フェーズにおいてもコンテンツマーケティングは有効だ。従来、購買プロセスに入る前の段階である「ブランディング」のフェーズでは、プッシュ型の「マス広告」を使ったアプローチが多かったが、本記事の中では、自社サイトなどでコンテンツを提供し、ニーズ発生前のターゲットとの関係構築を行っている3つの事例をピックアップ。

その一つがジュエリーブランドの代表格・ティファニーのサイト、“WHAT MAKES LOVE TRUE”だ。購入頻度の低い高額商品という特性から、すぐに買ってもらうことよりも、“真実の愛”を象徴するブランドとしての地位を確立することに注力。商品情報を極力排し、美しい写真やビジュアルを中心に、理想的な愛や結婚の形について語ったコンテンツが展開されている。まさに、ブランドイメージをストーリーとして語ることで憧れを醸成する好事例だ。

その他にも、女性向けファッションブランドによるカルチャー提案コンテンツや、女性向けのスポーツウェアブランドによるライフスタイル提案コンテンツなど、読者の感性に訴えることでニーズを掘り起こし、購買プロセスに至る前からよい関係性を築くためのノウハウに記事では触れている。

顧客が購買プロセスに入る前に企業姿勢やブランドコンセプトを語る手法は、主に「感情的な軸」で購買を決める傾向にあるラグジュアリーブランドやアパレルなどの商品でより効果を発揮する。よって、いかにブランドの価値観やフィロソフィーを表現し、共感してもらえるかが重要だ。

コンンツマーケティングの発展にはブランドがストーリーを語る「ブランドジャーナリズム」が深く関わってきたが、最近ではその役割の違いに注目して「コンテンツマーケティング」と「ブランドジャーナリズム」を分けて考える動きが出てきている。商品を売るための施策だけでなく、その前に売れやすくなるようにブランドと顧客の間の関係性をよくしておくことも重要だと語られ始めているのだ。2015年にむけて注目しておきたいアプローチの一つと言えるだろう。

2014年のトレンドを語る「インタビュー」は、「ギンザメトリックス社長へのインタビュー」

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  1. 「その戦略は本当に戦略か?」日本のコンテンツマーケターへ、日米で活躍するツールベンダーから提言

コンテンツマーケティングでも重要なアクセス解析やSEO最適化で活用できるツールを提供する「Ginzametrics」社。国内外でビジネスを展開してきたグリセルフーバー社長が、インタビューを通して、導入事例から感じた日米のコンテンツマーケティング展開の違いについて語った。

同氏によると、アメリカではまず明確な目標を設定し、その目標を達成するための戦略を組み立て、その中で必要であればコンテンツマーケティングという手法を採択するという順序となっている。一方日本では、「コンテンツマーケティングありき」でものごとを進めていく手法先行型のケースが多く、試行錯誤しながらものごとが進んでいる点を指摘。日本企業にとって、マーケティング施策の効果をさらに高めるためには、目先の業務にとらわれず、戦略により力を割くことが重要だということを改めて認識できる記事となっている。

コンテンツマーケティングを始める上で一番重要なことは、土台となる戦略を組み立て、それを明文化すること。海外のコンテンツマーケティング関連の記事でも、同様の主張を目にする機会は非常に多い。

インタビューに答えてくれたグリセルフーバー氏が提供する支援ツールの導入なども含めた「コンテンツマーケティングの実行プラン」を考える前に、まずドキュメント化された戦略をプロジェクトチームで共有しておくことが重要だ。目指すべき方向が明らかになれば、コンテンツを評価する基準も明確になり、よりよいマーケティング施策が可能になる。これは過去のContent Marketing Labの記事でも紹介した2013年・2014年のContent Marketing Worldキーノートの内容(https://contentmarketinglab.jp/trend-in-usa/content-marketing-world-master-class2013.htmlhttps://contentmarketinglab.jp/trend-in-usa/content-marketing-world20140909.htmlなど)とも共通している。ただ模索するのではなく、「どのような結果のために、何をやるのか」をしっかりと決めておくことが重要なのだ。

コンテンツマーケティングがより裾野を広げ、マーケティング手法として浸透した2014年。当サイトの読者も市場や読者の変化を実感した方が多かったのではないだろうか。今後さらにコンテンツ量は増え続け、コンテンツマーケターにとってタフな状況が進行することが予想される。しかし、コンテンツマーケティングの基本概念が変わることはない。2014年のトピックスを振り返ることで、本質的なフレームワークや重要なポイントを見直し、来年コンテンツマーケティングの効果を最大限に引き出すためのヒントを見つけてもらえればと思う。

執筆:隠岐由起子

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