2020年、日本のコンテンツマーケティングはどうなっていくのか?

2016年頃にマーケティングに関するバズワードとしてのピークを迎えたコンテンツマーケティングですが、その後は徐々に新鮮味を失い、今や使い古された言葉となりつつあります。そんな中、Yahoo!がコンテンツディスカバリーサービスを終了するニュースが伝えられたり、コンテンツマーケティングの情報サイトがひっそりと閉鎖されていたりと、日本におけるコンテンツマーケティングを取り巻く環境には、暗雲が漂い始めているようです。

コンテンツマーケティングが着実に発展しているアメリカと比べて、いったい何が違うのでしょう?そもそもコンテンツマーケティングが日本市場には合わなかったのでしょうか?私はそうではないと思います。日本でコンテンツマーケティングがうまくいかないのは、アメリカのコンテンツマーケティングの上辺だけをまねした結果ではないかと考えます。

ここで参考になる面白い逸話があります。以下は書籍「Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」の第43章から引用ですが、日本におけるコンテンツマーケティングの状況をよく表していると思います。

第二次世界大戦中、太平洋の小さな島々は、米軍と日本軍の激しい先頭の舞台となった。

それまで兵士というものを見たことがなく、ましてやジープや無線機などまったく目にしたことのなかった島民たちは、藁ぶき小屋の前で轟音をとどろかせながら展開される大活劇を驚愕の目で見ていた。

奇妙な制服を着た人間たちが、骨のようなものを自分たちの顔に近づけ、それに向かって話しかける。すると、巨大な鳥が何羽も現れ、空でくるくる回りながら、ふくらんだ布にくくりつけられた包みをいくつも投げ落とした。それらはふわふわと漂いながら、ゆっくり地面に下りてきた。包みの中身は「缶詰」だった。

食べ物が空から降ってくるなんて、まるで楽園のようだった。兵士たちは、缶詰を島民たちにも分けてくれた。

この見慣れない人間たちが狩りをしている姿も、食べ物を探している姿も、誰も目にしていない。でも、彼らはどうやら食糧を調達するための手段を、何か持っているらしい。荷物を積んだあの鳥たちを、彼らはどうやっておびき寄せることができたのだろう?

戦争が終わって軍が引き上げていき、島にいるのがまた島民たちだけになると、一風変わった光景が見られるようになった。多くの島々で新しい儀式が催されるようになったのだ。多くの島々で新しい儀式が催されるようになったのだ。「カーゴ・カルト(積荷信仰)」と呼ばれる儀式である。

島民たちは、丘のいただきで茂みを焼き払い、その後にできた地面を石で囲んで滑走路のようなものをつくった。滑走路の上には、藁でつくった実物大の飛行機が、その隣には竹の無線塔が置かれ、島民たちは木彫りのヘッドフォンを持って、戦争中に見た兵士たちの動きをまねた。火を起こして信号灯に見立て、肌には軍服につけられていたエンブレムの模様のタトゥーをほどこした。

つまり、彼らは「空港」を再現したのだ。戦争中にふんだんに食糧をもたらしてくれた、あの巨大な鳥が引き寄せられてくるように。

本質を知らずに形式だけを真似ることの愚かさに気づかせてくれる逸話ですが、これと同じことが日本におけるコンテンツマーケティングにも言えると思います。例えばアメリカにおいてコンテンツSEOという言葉はありません。しかし日本においては、コンテンツマーケティングといえば、コンテンツSEOを示すことが多いくらいです。オウンドメディア戦略やSNSによるコンテンツプロモーション、あるいは冒頭に挙げたYahoo!のコンテンツディスカバリーサービスをコンテンツマーケティングと混同している人も多くいます。見える部分だけを真似た結果、日本には、コンテンツマーケティングと似て非なるものが溢れているのです。

ここで今一度コンテンツマーケティングの定義に立ち返ってみましょう。以下は、アメリカのContent Marketing Instituteによるコンテンツマーケティングの定義になります。

“Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly-defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.”

http://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing/

コンテンツマーケティングとは、適切で価値ある一貫したコンテンツを作り、それを伝達することにフォーカスした、戦略的なマーケティングの考え方である。見込客として明確に定義された読者を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促すことを目的とする。(筆者訳)

コンテンツマーケティングとは、まず見込客を設定し、その見込客が必要としている適切なコンテンツとは何かを考え、その伝達方法を見込客に合わせて整備していくマーケティングコミュニケーションの考え方です。定義の中では、特定のメディアやフォーマットについては触れられていません。もちろんSEOという言葉も使われていません。コンテンツマーケティングを正しく実践するためには、まず定義をよく理解する必用があります。(もちろん定義を理解しただけで、すぐに実践できるわけではありませんが、定義も知らないのでは何も始まりません。)

一方、コンテンツマーケティングを理解する上で、定義だけではわからない点もあります。アメリカにおいては、当たり前過ぎて定義にも書かれていない重要なポイントがあるのです。こういったことを知っておけばコンテンツマーケティングが目指している先を理解し、成功の確率を大きく高められるでしょう。

脱線しかけている日本のコンテンツマーケティングをどう軌道修正していけばよいのか、その方法について11月28日に開催されるContent Marketing Dayというイベントでお話しする予定です。本物のコンテンツマーケティングを知りたい方は是非参加してください。

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執筆:渡辺一男

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