ビジネスに貢献するコンテンツを生みだすためのフレームワーク(前編)

コンテンツマーケティングには、いまのところ唯一無二といわれるような定義はありません。マーケティングに関与する立場や提供できる技術によってさまざまな解釈がうまれていますし、それらは同時にいずれも間違っているというわけではありません。

ただひとつ意識しなければならないのは、「コンテンツが販売というビジネスゴールの直前までをサポートしているかどうか?」という問いへの回答です。あたりまえの話?そう、あたりまえの話ではあるのですが、実務においてはもう少しブレイクダウンが必要です。

コンテンツといえばエンタテインメント?

最初に明確にしておきたいのは、コンテンツマーケティングが言うところの「コンテンツ」と、これまで(日本で)語られてきたコンテンツ、たとえば、クール・ジャパンなどで語られているコンテンツとは異なるということです。このことは、CONTENT MARKETING LABでもいく度か触れてきました。

一般的には、コンテンツといえば、アニメーションや動画などエンタテインメント系のものであったり、リッチといった修飾語で語られるような、娯楽性やエクスペリエンスの高いものと理解されることが多いのが現状です。しかし、コンテンツマーケティングにおいて意味されているのは、純粋にシンプルに「情報の中身」です。少し補助線を走らせるとすれば、「マーケティングにおいて必要な情報の中身」という考え方になります。

コンバージョンに貢献して、初めてコンテンツと呼べる。

ようは、「買う/売る」というゴールまでの距離を縮めるためのコンテンツ、認知度やイメージをアップするだけではなく販売を具体的にサポートするコンテンツ。少し網羅的に説明するとすれば、購買検討フローの各段階における態度変容をはかり「商品・サービスを買う/売る」コンバージョンへの確度と速度を上げるという目的が埋め込まれているコンテンツ、ということになります。

スタート(創探集客)からゴール(販売)まで。そう考えるとコンテンツマーケティングにおけるコンテンツは、ただ話題になればよい(トラフィックが上がればいい)というものではありませんし、単純(で強引)なSEOの手段とも言えません。

もちろん、「自社WEBサイトへの着地」や「リアル店舗への入店」が即購買に直結するようなパッケージンググッズや最寄品であれば「話題の提供」こそがゴールに近いといえます。顧客の興味を高めるために、エンターテイメント要素の強いコンテンツを用いることが重要課題です。これはこれでコンテンツマーケティングではありますが、あくまでも一部分でありどちらかといえばSEO対策に近いといえるかもしれません。

高額商品、耐久消費財にこそコンテンツマーケティング

一方で、高額商品でスペックなどの検討を要する車や家電など顧客関与度の高い商品においてはどうでしょう?多様で複雑な情報を集め、学習し、比較したうえで逡巡し、ようやく購買にいたるといった商品やサービスです。

欧米ではコンテンツマーケティングはむしろこういったインフォメーションリッチな商品にこそ有効であると考えられていますが、本領を発揮するためには瞬発力だけではなく、少し息の長いコンテンツ設計が必要になってきます。

もちろん、大きな販売ストーリーの中で合目的的であれば、たとえ耐久消費財であっても大量集客のためにエンタテインメント系のコンテンツを起用することも必要です。しかしひと度集客すればお役御免というわけではありません。集客したあと購買を決定いただくまでの過程においてもコンテンツを提供し続けることによって顧客化プロセスの可能性を統合的に模索するのがコンテンツマーケティングの本領なのです。

コンテンツを作りはじめる前に覚えておきたいフレームワーク

「面白さ」は初期の興味喚起のために必要かもしれませんが、それだけで惹きつけても商品の本質的な必要性は後押しできません。最終的な商品選択においてスペックは重要な情報ではありますが、ただ並べただけでは欲求を喚起することはできません。購買検討のステップに同期しながら変わっていく見込客の情報のニーズに対応するコンテンツの制作・編集・表現・配置について統合的な戦略が必要なのです。その策定手法を構造化したフレームワークが、以下の「コンテンツストラテジー開発フロー」ということになります。

もちろん、購買行動・心理は商品やサービスごとに異なるため、このフローはあくまでも原型です。また、本来的にはこれに、「ターゲットのペルソナ」のレイヤー、「メディア&デバイス」のレイヤーを重ね合わせなければ、コンテンツマーケティングの大きな地図を見通すことはできません。この前提を踏まえたうえで、次回は、「耐久消費財に最適化したコンテンツ開発」の基礎的な要点に絞って解説していきます。

執筆:浦山隆行(株式会社日本SPセンター)編集:岡徳之(Noriyuki Oka Tokyo

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