コンテンツマーケティングが貢献!専門家が語るSEO対策の今

SEO対策を、あくまで検索エンジンにひっかかるためだけのテクニックと捉えていないだろうか。実際のところ、つい最近まではそういう側面もあった。しかし、検索エンジンが検索意図まで汲み取れるように進化しつつある今、ようやく、生活者にとって優良なコンテンツを作るという本質的ともいえる行為が、もっともSEO対策として効果的な時代へと変わりつつあるという。

2015年10月30日、「SEO・コンテンツマーケティングの最新動向2015」と題して、公益社団法人印刷技術協会(JAGAT)が会員向けセミナーを開催した。最近では、印刷業界においてもWeb対応のニーズが高まっているため、同協会もこのようにWebに特化したテーマを積極的に取り上げている。その中から、なぜ今コンテンツマーケティングがSEOに効果的なのか、どういうコンテンツがSEOに効くのか、さらにSEOの最新の考え方に絞って、じっくり紹介する。

コンテンツマーケティングとは、“企業が伝えたいこと”と“生活者が知りたいこと”のギャップを“適切なコンテンツ”で埋める方法

セミナーの登壇者は2名。当サイト、コンテンツマーケティングラボ編集長を務める野口と、黎明期から日本のSEO対策を第一線で引っ張ってきた株式会社アイレップSEM総合研究所所長の渡辺隆広氏の2人だ。

まずは株式会社日本SPセンターの野口が、「コンテンツマーケティングの今」について話をした。

コンテンツマーケティングラボの編集長を務める株式会社日本SPセンターの野口聖晃

「そもそもコンテンツマーケティングとは、“企業が伝えたいこと”と“生活者が知りたいこと”のギャップを“適切なコンテンツ”で埋める手法」と野口。つまり階段を昇るように、生活者のステータスに合わせて、適切なコンテンツを提供し、購買まで結びつけていくのがコンテンツマーケティングだ。

適切なコンテンツの種類については、過去のこちらの記事で詳しく述べているので、参照されたい。

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企業が伝えたいこととは、数ある商品の特長や機能。生活者が知りたいことは、機能ではなくその商品を使って“できること”や“やりたいこと”。この2つを埋めるために、生活者の“やりたいこと”に該当する“商品の機能”を選別して結びつける。

野口は、さらに9月にアメリカのオハイオ州で開催された世界的イベント「Content Marketing World 2015」から最新のコンテンツマーケティング事情をレポート。「アメリカでは、コンテンツマーケティングは成熟し今は幻滅期に入っている。今後数多くの成功例と失敗例が生まれることになるだろうと言われている。まさに淘汰が始まる。」「その激動の中、確実に効果を上げている企業ほど“戦略のドキュメント化”を実行していると報告されていた」などと紹介した。

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SEOとコンテンツの関係を正しく理解する3つの観点…マーケティング、コミュニケーション、インフラストラクチャ

続いての登壇者、株式会社アイレップSEM総合研究所 所長の渡辺隆広氏のテーマは、「SEOとGoogleの最新トレンドとSEO担当者が理解すべき戦略」。

渡辺氏は日本のSEO対策黎明期の1997年より、SEOサービスを開始。現在は株式会社アイレップにてSEM総合研究所 所長を務め、サーチマーケティング関連のソリューション開発、検索エンジン企業への事業展開アドバイスなども行っている。日本のSEO対策を第一線で引っ張ってきた人物だ。

渡辺氏は、実はビジネスとしてSEOを捉える時には、 ①マーケティング②コミュニケーション③インフラストラクチャという3つの観点からSEO対策を考えることが重要」という。それぞれの事例をピックアップしながら理由を解説しよう。

観点①:マーケティング戦略の文脈で、SEOを駆使してビジネスを加速

「SEOというのは、顧客の悩みを解決することが本質。何を知りたがっているか、何を探しているかを、検索の視点から分析していくことが重要。これができれば、優良な見込み客を検索から集客することが可能になり、成約率をあげることができる」と渡辺氏は述べ、だからこそマーケティング戦略の視点を持つことが重要だとした。

渡辺氏はさらに「単純に検索上位にあがっても意味がない。その商品を購入したいと思っている消費者の検索で上位に表示される必要がある」と続けた。例えば、マイクロソフトのある調査では、“靴を購入したい消費者”が購入完了までにかかった検索時間は55分44秒。6回の検索と12頁のWebページの表示を行ったという結果が出ている。つまり、何かを購入したり決断したりするには1回の検索で終了しない。理解するまで何度でも検索するということだ。

たとえば、あるインターネット接続業者の例。4000以上の想定される検索ワードをすべて洗い出し分析すると、購入決断の要因になるものは、下記の6つに絞られた。戦略として、こうした悩みを解決するためのコンテンツを提供することで購入につなげる。これが、いわゆるSEOのマーケティング的活用 だ。

観点②:生活者とのコミュニケーションという観点で、疑問・悩みに答えられるサイトを構築

SEOを活用することで、生活者に正しい情報を伝えるというコミュニケーションが成立する。いわば広報的な役割もあるので、この観点が重要だと渡辺氏は述べている。

生活者とのコミュニケーションという視点では、WHO始めアメリカの研究機関はきちんとSEO対策がなされている。例えば、新型インフルエンザなど世界で大流行しそうになると、ネット上には信頼性に欠ける情報があふれてしまう。そういったケースに対応するため、WHOは正しい情報を生活者に伝えるために、自分たちのリリースやニュースが検索上位にあがるようなSEOが考慮されている。

反対に、失敗例では、マイクロソフトが不良品を出した時、ネット系メディアが先に間違った情報を発信したために、自社の正しいリリースより上位に表示されることになり生活者が混乱したケースがある。SEOを意識した広報活動をすることで、周知しなくてはいけないようなアナウンスの効果最大化はもとより、なにかしらのミスによる混乱の最小化にも貢献できるといえる。

観点③:インフラストラクチャの観点から、あらゆる場面の検索意図に答えるようWebを最適化

「重要なのは、SEOで検索一位になるのではなく、いかに消費者が確実に自社のサイトにアクセスできるかである」と渡辺氏は力強くいう。インフラストラクチャという観点からいうと、Webのコンテンツ管理システムやテンプレートそのものを検索されやすいものにすること。つまり、そのプラットフォームを通じて情報を発信しさえすれば、常にSEO対策がなされている状態が望ましい。

例えば、サムスン。グローバル展開しているので24時間常に世界中のどこかでキャンペーンが行われている。24時間常に消費者が確実にサムスンのランディングページにアクセスできるよう、オフライン広告に接触した消費者が検索時に、想起するであろうキーワードをすべて洗い出すSEO対策を行っている。

サムスンは、下記フローの導線を維持できるよう365日、常にSEOを意識している。P&Gなどグローバル展開している企業は、同様のことを当たり前のこととして常に行っている。

SEOは今や長期戦。対策は、優良コンテンツ作りに尽きる

SEO対策は、Google誕生以前は評価軸として内部要因しかなかった。今では、外部要因(リンク)とコンテンツが重要になってきた。「ただし」と渡辺氏はいう。「2000年頃も、検索エンジンはそもそも生活者が欲しいコンテンツを、良質なコンテンツとして評価しようとしていた。ところが当時は検索エンジンをテクニック的に騙す方の費用対効果が高かったため、コンテンツ作りより小手先のテクニックに走ってしまった。当時は、良質なコンテンツ作りは理想論にすぎなかったが、検索エンジンの技術が進化することで、ようやく今本来の目的に達してきた」という。だから、本来は良質なコンテンツが作られていることが大前提で、その上でSEOを行うことが重要である。

SEOでもっとも気になるのは、その施策を行ってから効果が出るまでの時間。渡辺氏曰く「SEOは、一般的に、効果が出始めるまで半年はかかるとされる」。Googleは本当にそのWebサイトが価値があるかを、時間をかけて判断するので、効果も出るまで時間がかかってしまう。取り組みは継続してこそ初めて成果が出ると考えていいだろう。

では、長く取り組み続けるメリットはあるのだろうか。もちろんある。継続運営しSEO対策の土台が築けていれば、たとえ他社と同じ施策を行ったとしても、土台が固まっている方が、集客数や順位などの成果は大きくなる。それはなぜか。Googleの評価する価値は積み重なっていくものだから、運営すればするほど、時間に比例して価値が自動的に高くなっていくからだ。

A、B、Cの3つの企業が同じ施策を行っても、C社は成果がでやすい。例えば、Amazonと小さな通販ネットが同じ施策を打った場合を想像してほしい。どちらの集客が多いか、一目瞭然だろう。長期継続こそ施策のメリットが大きくなるのだ。

SEOに効果的なコンテンツ戦略の第一歩は、社内外の資産・機能の洗い出し

SEOを推進するために大切なことは、「検索エンジンフレンドリーにする」ことと渡辺氏。「実は、大手企業でも、できていないことが多い」という。例えば、画像ばかりでテキスト化されていない大手企業のサイトは、本当に未だにあるのだ。だからこそ、もう一度基本中の基本であるが、おさらいをしておこう。

  • タイトル要素にキーワードを含める
  • H1要素でタイトルを定義する
  • 目次・一覧ページにもユニークなコンテンツを
  • クローラがサイト内を巡回できるように内部リンク設定を整える
  • 視覚的に訴求したページでも、重要な語句は画像ではなくテキストに

渡辺氏は、「コンテンツ戦略について、(日本SPセンターの野口による)先程のコンテンツマーケティングの考え方にSEO観点から重要なポイントを補足すると、網羅的に情報を集めていることがまず大事。次に、そのジャンルにおいて専門性が高いと評価されること。ただ、内容の薄いコンテンツでは意味がないので、生活者の興味が高い分野については詳細な情報や分析も必要。そして先程から述べているように、継続性は必須」と話した。

「マーケティング課題解決」と「レピュテーション構築」としてのコンテンツとして考えた時、(1)網羅性・包括性 (2)専門性・詳細な分析 (3)継続性はもちろんのこと、ただ単にページを増やすのではなく、常に何を解決するためかの「戦略」を明確にしておくことが非常に重要。

今後重要になってくるのは、社内外の資産や機能を最大限に活用することだと渡辺氏。「よいコンテンツがない」「何を掲載すればよいかわからない」というお客様もいるが、実はオフラインで使っているパンフレットの内容やアンケート調査などの資料が使えるケースも多い。また、事業部が多い企業ほど事業部間での資料共有ができていないので、あらためて洗い出すことでコンテンツが生まれてくることもあるという。

再利用の例もいろいろある。販促などのキャンペーンサイトを終了時に「404not found」にせず「当キャンペーンは終了しましたが、こちらで◯◯のキャンペーンを開催しています」とリンクを貼って関連サイトに再誘導する。来年も同じキャンペーンをするなら、そのURLを活用する。今あるものをいかに活用するかがSEOである。

膨大なSEO情報。ただし、今知るべきことはたったこれだけ!

さて、最後に最新トレンド。SEOに関しては日々新たな情報が発信されているが、渡辺氏は「本当に重要なニュースは年に2〜3件しかない。新しい情報にキャッチアップしていくだけでよい」という。

今知っておくべき情報は、例えば2015年8月からGoogle が実施している「偽通販サイト対策」。アルゴリズムが過剰で、偽通販サイトだけでなく、真面目な小規模な企業まで検索に表示されなくなってしまう不具合が続いていること。また、「2チャンまとめ」など、日本国内だけ適応されているスパムフィルタリングがけっこうあちこちで行われていること。さらにあいまいな検索クエリに対応可能な人口知能を使った「Rank Brain」というアルゴリズムが最近話題になっていることなど。

そして、AMP Projectも知っておいていいだろう。Google始めBBCなど38社が参加している、モバイルウェブの高速化を実現する企画。現状はまだまだ技術的な課題が多いので来年再来年にもう少し話題になりそうだ。

AMP Projectには、BBCやFinancial Times, BuzzFeedなどメディア38社が参加。日本からは朝日新聞デジタル、産経デジタル、毎日新聞も参加している。

検索エンジンは、生活者の検索意図を汲み取るように技術進化してきている。アイレップ渡辺氏は「そもそもSEOは、“生活者が知りたいこと“と合致する“企業が伝えたいこと“を良質なコンテンツとして評価しようとしてきた」と発言していたが、ようやく本質的なSEO対策が実現できるようになってきたのだといえるだろう。そんな今だからこそ、「“企業が伝えたいこと”と“生活者が知りたいこと”のギャップを“適切なコンテンツ”で埋める手法」であるコンテンツマーケティングを実践し、良質なコンテンツを生活者に届けることが本質的なSEO対策になりえるといえるのだ。

渡辺氏は、「小手先のテクニックは本質的なSEO対策ではない」と述べていたが、コンテンツマーケティングラボ編集部としては、リンク獲得を目的とするコンテンツSEOもまた、本質的なSEO対策とはいえないのではないかと考えている。

コンテンツマーケティングを実施すれば、結果的にはSEO対策になりえるといわれるが、やみくもにコンテンツマーケティングを実行しても、SEOへの効果は期待できない。それぞれの施策ごとにコンテンツ戦略を考え、それに沿って実行してゆくことが重要だ。小手先のテクニックよりも、生活者のための優良なコンテンツ作りがSEO対策に有効な時代になってきたからこそ、SEO対策をする上でも、コンテンツマーケティング戦略がよりいっそう問われるようになってきているといえるだろう。

執筆:新川五月編集:奥田あゆみ(日本SPセンター)

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