コンテンツマーケティングとは何か?

目次

コンテンツマーケティングの定義

2014年頃から、日本においてもコンテンツマーケティングという言葉が多く聞かれるようになってきた。最近ではコンテンツマーケティングに関する書籍も増えている。新しいSEOの手法だという人もいれば、ビジネスブログを書くことだ、バズるコンテンツのことだ、いやネイティブ広告のことだという様々な見解がある。人によって示す内容が異なることが多いコンテンツマーケティング。コンテンツマーケティングとは何かを理解するために、原点に帰り、コンテンツマーケティングの生みの親である、アメリカのコンテンツマーケティングインスティチュートによる定義を見てみよう。

“Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly-defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.”

コンテンツマーケティングとは、適切で価値ある一貫したコンテンツを作り、それを伝達することにフォーカスした、戦略的なマーケティングの考え方である。見込客として明確に定義された読者を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促すことを目的とする。

http://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing/

この定義の中では、特定のメディアやフォーマットについては触れられていない。つまりコンテンツマーケティングとは、ブログや動画など特定のメディアに縛られた手法ではないということだ。また、どんなコンテンツでもよいわけではなく、「適切で価値ある一貫したコンテンツ」と説明されている点も重要だ。コンテンツマーケティングにおいては、明確に定義された見込客にとって、適切であり、価値があり、一貫性を備えたコンテンツであることが求められるのだ。そんなコンテンツを作り、そして届けるための手法全体がコンテンツマーケティングなのだ。当サイトでは、上記の定義を元にコンテンツマーケティングを以下のように解釈している。

コンテンツマーケティングとは、見込客の疑問や関心に対して、関係性が深い適切な情報を提供し、それによって見込客を引き寄せ、買いたい気持ちを盛り上げ、最終的に購買に導くコミュニケーション戦略である。

いきなり自社の商品やサービスをアピールしたり売り込んだりするのではなく、見込み客の購買支援を行うことにより段階的に関係性を深め、最終的に購買してもらうことを目的とする。

見込客を段階的に購買まで導くプロセスを示したイメージ図。

コンテンツマーケティングとは、見込客の疑問や関心に対して、関係性が深い適切な情報を提供し、それによって見込客を引き寄せ、買いたい気持ちを盛り上げ、最終的に購買に導くコミュニケーション戦略である」のイメージ図

定義そのものには目新しさを感じないかもしれない。ではなぜコンテンツマーケティングが注目されるようになったのだろう?コンテンツマーケティングにおける基本的な情報伝達の仕組みを従来の広告と比較すると、その革新性が見えてくる。

コンテンツマーケティングの情報伝達の仕組み

従来の広告においては、テレビCFにしても雑誌広告にしても、メディアが企画したテーマに興味を持って訪れた、視聴者、読者に対して、時間的、空間的に割り込んでメッセージを伝達するという手法がとられた。情報ソースが少ない時代であれば、この手法は強力であった。しかしメディアフラグメンテーション(断片化)といわれるように、現代の生活者はテレビを見ながらスマホを操作するなど断続的にコンテンツを消費しているため、常に忙しい状態であり、広告メッセージに反応する確率が低いだけでなく、広告が邪魔で迷惑な存在になっている可能性が高い。

情報オーバーロードといわれるように、生活者は消費できる情報量の何倍もの情報に日々接しているといわれている。では生活者は全ての情報をシャットアウトしているのかというとそうではない。ウェブサイトの利用状況などのデータを収集しているAlexaによると、世界で最もアクセス数の多いサイトはgoogle.comとなっている。生活者は、情報があふれているため、広告による情報提供は拒否するけれど、必要な情報は足りず、情報を求めて必死に検索をしているという奇妙な現象が浮かび上がってくる。

Alexaの収集データによる世界アクセス数ランキング

どうやら従来の広告ではない別のコミュニケーションが求められているのではないか?このコミュニケーション不全の解決策として、コンテンツマーケティングにおいては、生活者が日々探している情報が何かを理解することでコミュニケーションのきっかけを作り出す。つまり一方的にメッセージを投げかけるのではなく、「企業が伝えたいこと」と「生活者が知りたいこと」のギャップを「適切なコンテンツ」で埋め、まず両者の関係性を構築することでコミュニケーションを成立させるのだ。

マス広告は、割り込み型、売り込み型という側面があるが、コンテンツマーケティングの発想はこれとは異なり、情報を求めている人に対して適切なタイミングで適切なコンテンツを提供するという素直なアプローチになる。いきなり売り込むと拒絶されるが、商品を購入するための手伝いをすると最終的に売り込んでも喜ばれる。情報があふれる今日において、生活者を段階的に支援していくという姿勢は有効だ。「企業が伝えたいこと」と「生活者が知りたいこと」のギャップを「適切なコンテンツ」で埋めるという支援型のコミュニケーションで、生活者との信頼関係を構築し、購入支援を行う。これがコンテンツマーケティングの情報伝達構造になる。

従来の広告は、企業が伝えたいことを一方的に生活者に届けるスタイルであった。一方コンテンツマーケティングは、生活者が知りたいと思ったときに、それに答える適切なコンテンツを用意することで出会いのきっかけを作り、まず両者の関係性を構築することを目的とする。

コンテンツマーケティングの事例

適切なコンテンツできっかけを作り出すというコンテンツマーケティングのコミュニケーション手法がどのように行われるのかについては、事例を見るとわかりやすい。コンテンツマーケティングにおけるバイブルとも言える二つのウェブサイトを見てみよう。それぞれの適切なコンテンツの使い方に注目して欲しい。

一つ目は、家計簿ソフトMint.comだ。Mint.comはいわゆるクラウド型の家計簿ソフトである。Mint.comが巧みなのは、適切なコンテンツで潜在的な見込み客を発掘している点だ。従来の広告的な手法であれば、家計簿ソフトのベネフィットを訴求したであろう。ところがMint.comは、例えば「How Do I Start Saving for My Child’s College Education?(子供を大学に入れるために、どのように貯蓄を始めるべきか?)」というブログ記事を用意している。

大学進学を目指す子供を持つお母さんが子供の将来について考えるタイミングがあったとしよう。大学を卒業するまで一体いくらかかるのだろう…そんな疑問を抱き、検索エンジンでヒットしたページをいくつか見ているうちにこの記事にたどり着く。そこで家計にまつわる様々な情報や家計簿ソフトMint.comを知ることになる。家計簿ソフトの情報をいきなり訴求するのではなく、家計簿ソフトを必要とする人が日々求めている情報を提供している点がミソだ。Mint.comのコンテンツマーケティングについてさらに知りたい方は、以下の記事を是非読んでいただきたい。

コンテンツマーケティングの情報構造(前編)

二つ目は、アメリカのバージニア州にある住宅向けプール施工会社River Pools and Spas社のウェブサイトだ。同社が巧みなのは、適切なコンテンツによって、顕在的な見込み客を獲得している点だ。見込み客が、家の庭にプールを作りたいと考えたときにまず一番に思い浮かぶ疑問は何だろう?少し想像するとすぐわかるが、コストがいくらかかるかということだ。「How Much Do Inground Pools Cost?(埋め込み式のプールを作るといくらかかるか?)」。同社は、この疑問に答えるコンテンツをきちんと用意している。価格を表示すると価格だけで選ばれるのではないか、同業他社に価格がわかってしまうのではないかという不安があるかもしれないが、同社の考えはシンプルだ。お客さんが知りたいと思った全ての疑問に答える。見込み客が検索した時にGoogle上で一番の先生になるという考え方だ。この戦略で成功している。さらに知りたい方は、以下の記事を是非読んでいただきたい。

米国No.1プール施工会社事例にみる ビジネスゴールに貢献するユーザー視点とは?

Mint.comもRiver Pools and Spasも最終的には売り込みを行っているが、コンテンツによる最初のきっかけ作りに学ぶべきヒントがある。

コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違い

コンテンツマーケティングとよく混同される概念として、コンテンツSEOという考え方がある。コンテンツSEOは、良質なコンテンツを作成して検索順位を上げるというSEOの手法だ。これは検索エンジンのアルゴリズムの変化に伴い、従来キーワードや被リンクなどで対応していたSEO対策の効果が薄れてきたために生まれた手法だ。言い換えると、コンテンツマーケティングの認知獲得施策の部分をSEOに利用した、あるいは、結果的に似てしまった手法といえる。

また、見込客の認知を獲得した後、段階的に購入まで導き、購入後も関係性を構築し続けるという点でもコンテンツマーケティングとコンテンツSEOは異なる。表層的には似ているが、根本的な部分では、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOは別の考え方であるといえる。両者の違いを図示すると下記のようになる。

コンテンツマーケティングでは、見込客がコンテンツと接触する度に段階的に購買プロセス上を進むが、コンテンツSEOでは知識が異なるそれぞれの見込客に別々のコンテンツを用意して待ち受ける形となる。

コンテンツマーケティングの代表的な事例として取り上げたMint.comもRiver Pools and Spas社も、認知の段階では検索を重視しているが、認知を獲得した後は、資料ダウンロードやeメールでの情報提供など、見込客に自分で学習してもらうコンテンツを用意して関係性を構築している。

ではこのような、見込客を段階的に購買に結びつけるための適切なコンテンツをどうやって作成するのか、その手順について紹介しよう。

コンテンツマーケティングの実践方法

適切なコンテンツを作成し、見込み客を認知から購買に導くためには、「誰に」、「何を」、「どういう順番で伝えるか」を決める必要がある。

  • 誰に伝えるのか

    コミュニケーションで最も重要なのは誰に伝えるのかを明確にすることだ。伝える相手が違えば、伝える内容も伝え方も異なるからである。コンテンツマーケティングにおいては、誰に伝えるのかを明確にするために、まずペルソナを設定する。

  • 何を伝えるのか

    伝える相手が明確になれば、伝える内容も明らかになってくる。設定したペルソナ別に、どんな情報があれば惹きつけることができるのかを検討する。但し、見込み客視点だけでは、購買につながらない可能性がある。企業として伝えたいことが伝達できているかも確認する必要がある。つまりペルソナ視点と企業視点の2つの視点で何を伝えるのかを決める必要がある。

  • どういう順番で伝えるのか

    「誰に」、「何を」が明確になったら、必要な情報を漏れなく伝えるために、どういう順番で伝えるのかを設計する必要がある。また、伝える相手によって適切な媒体を選ぶことも重要である。

以上の3つの要素を作業手順にブレークダウンすると以下の7ステップになる。

  • ペルソナ設定

    ペルソナとは、セグメンテーショングループを代表する一人の人物象を詳細に記述したものだ。見込客を群で捉えるのではなく、ある特定の一人にまで人物像を絞り込んで考える。一人だけに絞り込むことで、ユーザーの抱えている困り事や問題がイメージしやすくなり、それを解決するためのメッセージ戦略やアプローチ方法が設計しやすくなる。

  • 情報ニーズを把握する

    ペルソナ別の情報ニーズを把握する。商品を欲しいと思った最初のきっかけは何であったのか。どういった検索ワードで検索したのか、最終的に自社の商品やサービスを選んだ選択基準は何であったのか等の情報を把握する。

  • カスタマージャーニーマップの作成

    ペルソナ設定を行うことで、誰に、何をまでが明確になるが、時間軸のない静的な情報であるため、どういう順番で情報を提供したらよいかが見えてこない。これを検討するために利用するのがカスタマージャーニーマップだ。カスタマージャーニーマップを作成すると、認知から購入にいたるまでに、見込客がどんな情報を欲しているかを時間軸で確認することができる。

  • コンテンツマップの作成

    カスタマージャーニーマップでどういう情報を、どういう順番で伝えるべきかが明らかになったら、その情報ニーズに答えるコンテンツをカスタマージャーニーマップに記載していく。

  • メディア選定

    コンテンツ、つまり伝える内容が決まったら、それをどんな媒体あるいはフォーマットに載せたらよいのかを考えよう。同じ内容であってもペルソナによって動画で提供した方がよいのか、PDFで提供したらよいのかは異なる。ペルソナに合わせて適切なメディアを選定しよう。

  • CTAの設定

    CTAとは、お客様に取ってもらいたい行動を呼びかける(Call to Action)のことだ。例えば、メルマガを購読してもらう、カタログPDFをダウンロードしてもらう、というような行動喚起を意味する。ウェブサイト上ではダウンロードボタン、次のページへ遷移するためのリンクなどによって設定されるが、CTAをつなげてみて、最終的にうまく購買にまで結びつくのかどうかを考えながら設計する必要がある。CTAの連鎖が途切れていては、見込客が購買プロセス上で道に迷う可能性が高くなる。

  • KPIの設定

    CTAを計測可能な数値に置き換えたものがKPIだ。KPIとしては、例えばアクセス数、ダウンロード数、滞在時間、検索による流入数等があるが、コンテンツマーケティングにおいては、これ一つで大丈夫というKPIは存在しない。また始めた直後と、ある程度時間が経った後でKPIを変える必要もある。最終的なビジネスゴールが達成できているかどうかを見ながら、CTAを改良し、そのパフォーマンスをKPIで計測し続けることで、ビジネスゴールと因果関係がある指標を見つけることが重要である。

以上の7つのステップの作業を行うと以下のようなシートが完成する。より具体的な作業内容については書籍「Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書」を参考にして欲しい(シートのダウンロードはこちら

コンテンツを知ってもらうためのコンテンツプロモーション

コンテンツを制作するには時間とコストがかかるため、完成すると満足してしまい、これだけ良いコンテンツを作ったのだから、そのうち閲覧数も増えるだろうと何もしないケースが多い。

しかし良いコンテンツを作ってウェブサイトに掲載すれば、ただそれだけで見込客が集まってくるわけではない。良いコンテンツを機能させるためには、そのコンテンツの存在を見込客に知ってもらう必要がある。この活動を、コンテンツプロモーション、あるいはコンテンツアンプリフィケーションと呼ぶ。

コンテンツプロモーションを成功させるには、既にその企業と関係性が構築できている層、インターネット上で影響力のあるインフルエンサー層、まだ関係性はないが潜在的な見込客である層という3つの層に対してコンテンツを届け、コンテンツをシェアしてもらうことが重要だ。

1.既に関係性が構築できている層とのコミュニケーション

企業が開設しているSNSアカウントをフォローしている、あるいは企業が配信しているメールマガジンに登録している層に対してコンテンツを配信しよう。B to Bでは、名刺交換等によって獲得したメールアドレス宛にコンテンツを送ることも有効だ。

2.インフルエンサー層とのコミュニケーション

インターネット上には影響力のあるインフルエンサーが多く存在する。インフルエンサー自身が、あるいは、そのフォロワーが自社の見込客に近い存在である可能性が高いならば、インフルエンサーと直接コンタクトを取ったり、新しいコンテンツを先に提供したりすることは重要だ。なぜならコンテンツが公開されると同時に、コンテンツをシェアしたり、コメントを書いたりすることができ、インフルエンサーとしての潜在的な欲求を満たすことができるからだ。

3.まだ関係性が無い層とのコミュニケーション

まだ関係性が無い層に対しては、先述の2つの層からの二次拡散を待つか、あるいは積極的に広告するという手段がある。コンテンツマーケティングを始めて一定数の購読者を獲得するまでには半年ほどかかるが、その時間を短縮するために広告を使うのは有効な手段だ。もし広告を使うのであれば、後で使うよりも初期段階で使った方が、費用対効果が高い。

コンテンツマーケティングの進化と今後

コンテンツマーケティングの基本的な考え方から実践方法について簡単に紹介してきたが、コンテンツマーケティングがどのようにして発展してきたのか、そしてこれからどう進化していくのかについて説明しよう。

コンテンツマーケティングの歴史は実は古い。コンテンツマーケティングの起源としてよく紹介されるのは、1895年に創刊された農機具メーカーJohn Deere社の雑誌「The Furrow」だ。広告で一方的にメッセージを送り届けるという考え方しかなかった時代に、農業に関するノウハウを送り届けることで、顧客である農家とのリレーションを強化した。企業が伝えたい事とユーザーが知りたいことの共通項をうまく見いだした最初の事例だ。まだウェブサイトがないこの時代の手法は、コンテンツマーケティング1.0と呼べるだろう。

1991年にウェブサイトが公開され、1998年にはGoogleが誕生。その後、2005年から2006年にかけてYouTube、Facebook、Twitterを始めとするSNSが登場すると、ユーザー自らが情報を求めることが可能になる。この変化により、2010 年頃までにはオウンドメディアやアーンドメディアを活用したコンテンツマーケティングが盛んになっていった。前述したMint.comやRiver Pools and Spas社の事例もこの頃のものだ。この時代はデジタルメディアの力を得てコンテンツマーケティングが花咲いた、コンテンツマーケティング2.0の時代と言えるだろう。

順調に発展を続けるコンテンツマーケティングであったが、2015年には、コンテンツマーケティングの淘汰の時代を予言する「Content Shock(コンテンツマーケティングの危機)」という考え方が、マーケティングコンサルタントのMark Schaefer氏から発表された。(Content Shockに関する紹介記事を当ラボでも掲載している。この頃から徐々に「よいコンテンツを作れば、ユーザーは必ず見つけてくれる」というコンテンツマーケティングの神話が揺らぎだし、SNS広告やネイティブ広告を活用したコンテンツプロモーションの活用が盛んになっていった。見つけてもらうという考えだけでは通用せず、コンテンツにもプロモーションが必要な状況になったのだ。この時代の手法はコンテンツマーケティング3.0と呼べるだろう。

そして2017年、コンテンツマーケティングは次の進化へと向かっている。電子部品などを販売するArrow Electric社は、電子機器業界の既存メディアを買収することにより、電子機器業界で最大のメディアになった。Buzzfeedが運営するTastyは、料理本や調理器具の販売まで手がけるようになった。今やメディアと企業の境界がなくなりつつあるのだ。

CMIの創設者であるJoe Pulizzi氏は、商品を作ってから見込客を集めるのではなく、見込客を集めてから商品を作るというオーディエンスファーストの時代がこれから来るという。Joe氏は著書「Killing Marketing」でこの考え方について詳しく説明している。この試みがうまくいくかどうかはまだわからないが、オーディエンスファーストという考え方がコンテンツマーケティング4.0になっていくのではないかと思われる。

コンテンツマーケティング1.0:The Furrowを代表とする、売り込みではないユーザー視点の情報提供スタイルの始まり。

コンテンツマーケティング2.0:
検索エンジンの進化に伴う、ブログを中心としたオウンドメディアによる情報提供に加え、SNSを活用したデジタル型コンテンツマーケティングの時代の幕開け。

コンテンツマーケティング3.0:
Content Shockを克服するために、SNS広告やネイティブ広告を活用したコンテンツプロモーションの時代。

コンテンツマーケティング4.0:
オウンドメディアをマネタイズするなど、企業が本当の意味でメディア化する時代。

コンテンツマーケティングに関するよくある質問

ここまでで、コンテンツマーケティングの概念と手順について概要をつかめたと思うが、いざ実践しようとすると様々な疑問が生じる。参考までに、よく聞かれる質問とそれに対する当ラボの見解を紹介しよう。

コンテンツマーケティングを始めたいのですが、何から始めたらよいですか?

何から始めたらよいのかは目的によって異なるが、購買ファネル上で強化したい段階から始めることをお勧めする。例えばファネルの上層である認知獲得に力を入れたいのであれば、ブログ記事から始めるのがよいだろう。ペルソナ設定に基づいたニッチなコンテンツを継続して配信していけば、どんなテーマがよく読まれるのかという傾向がわかってくる。

好まれる傾向がわかってきたら、同じテーマの記事を集めた新しいディレクトリーを作成するのも良い方法だ。購買ファネルの下層に位置する、顧客のリテンションに力を入れたいのであれば、メルマガ等の定期的なコミュニケーションにコンテンツマーケティングを利用するとよいだろう。いきなり大規模なコンテンツマーケティングを展開するよりも、小さく部分的に始めることが成功への近道だ。

コンテンツマーケティングは内製すべきでしょうか、アウトソーシングすべきでしょうか?

企業規模と人的リソースによって異なる。もしライティングまでできる人的リソースを社内で確保できるのであれば、それがベストだ。商品を熟知した人物がライティングを行うことに勝る選択肢はない。しかしながら、ほとんどの企業ではそこまでの余裕がないのも事実だ。宣伝、マーケティング、販促部門は既存の業務だけでもリソースが不足しがちなことが多いため、制作に関する部分は外注した方が無難だ。

一方小規模な会社の場合は、一人で小さく始めることをお勧めする。但しこの場合でも、企画段階でコンテンツマーケティング支援会社などの外部リソースを活用する方が、試行錯誤の時間を短縮することができる。パートナー企業を選ぶときは、部分戦略ではなく、販売の現場までを熟知した全体戦略を構築できる会社と組むことをお勧めする。そうでなければ、検索順位は上がったが売上には結びつかなかったという結果にもなりかねない。

コンテンツマーケティングには、どれくらいのコストがかかりますか?

提供するサービスによって価格が異なるが、ウェブ上で検索すると、1記事、あるいは1文字あたりで料金表示を行っている会社が多い。1文字あたり3円~数百円、1,000文字の記事1本あたり2万~5万円くらいが相場のようだ。ブログだけでコンテンツマーケティングを運営する場合はこの料金を目安にするとよいだろう。

しかし、ブログはコンテンツマーケティングの導入には適しているが、これだけでは成果につながりにくい。コンテンツマーケティングの全体戦略や運営費も含めた場合の料金表示はほとんど見当たらないが、参考までに当社の価格を紹介すると、戦略立案から初期コンテンツ制作まで含めて500万円、以降更新内容にもよるが毎月200万円、の運営費がかかるケースが平均的だ。

コンテンツマーケティングの価格例(当社の場合)

ブログの適切な更新頻度はありますか?

一言で答えるならば、自社のリソースを使って更新できる頻度が適切な更新頻度になる。もちろん最高なのは、高い頻度でコンテンツを更新していくことだが、更新頻度を重視するあまり、無理をして浅い内容のコンテンツを乱発するのであれば、深い内容のコンテンツを可能な範囲で更新する方が効果的だ。

なにか目安があった方が更新頻度を決めやすいということであれば、初期段階では毎週あるいは最低10日に1本は記事を更新すべきだ。これ以上の期間があくと情報ソースとして忘れられる可能性が高くなるからだ。ある程度記事の量が増えてくれば、更新頻度を落としたとしても大きな影響はない。ちなみにCMIは一時期、1日2本のブログ記事をアップしたことがあったが、逆に読まれなくなったため1日1本の更新頻度に減らしたという。多すぎてもいけないということだ。

コンテンツの量と質ではどちらが重要ですか?

基本的には量と質であるならば質が重要だ。検索結果としても質が高いコンテンツの方が評価されるからだ。しかし量が少ない、つまり更新頻度が少なくなっていくと、新しい情報がないので、読者の関心をつなぎとめることができなくなる。検索結果で上位に表示されるためには質が重要、読者の興味をつなぎ止め続けるためには更新頻度、つまり量が必要ということになる。

結局のところ量と質の両方を追い続けなければいけないというわけだが、質を追い求めるあまり、なかなか記事が更新されないよりは、ある程度妥協して記事を掲載し、その結果を見ながらチューニングを行う方が早く適切な量と質のバランスに到達することができる。質が良いかどうかを決めるのは読者なので、ある程度の量をこなすと適切な質が見つかるという現実がある。

コンテンツマーケティングを勉強するための情報源

コンテンツマーケティングはアメリカで生まれた考え方であるため、当然ながらアメリカのウェブサイトを読んだ方が最新の情報を得ることができる。当サイトでは、海外の情報で役立ちそうなものを紹介しているが、鮮度という意味では落ちてしまう。最新の情報を得たい方は是非以下のサイトで学んでいただいきたい。当サイトでは、気になった記事のエッセンスを毎週Twitterで紹介している。こちらも参考にして欲しい。

コンテンツマーケティングラボのTwitterアカウント(@CMLAB_NSPC

Content Marketing Institute。コンテンツマーケティングの生みの親であり、コンテンツマーケティング界のゴッドファーザーと呼ばれるジョー・プリッツィーが率いるコンテンツマーケティングの総本山。ブログ、ニュースレターなど充実している。

Coppyblogger。動画、インフォグラフィックスなど新しい手法も大切だが、コンテンツマーケティングの基本となるのはやはりコピーライティングだ。コンテンツマーケティングで自らのビジネスを築き上げたブライアンクラークのブログではライティングの秘伝が学べる。

MarketingProfs。コンテンツマーケティングを最も適用しやすいのは実はBtoBだ。BtoBに特化した様々なマーケティング情報を提供しているMarketingProfsでは、コンテンツマーケティングに関する情報も提供している。

コンテンツマーケティングラボについて

コンテンツマーケティング入門記事

新入社員のためのコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングの著名人に聞く

以下はアメリカでコンテンツマーケティングが盛り上がり始めた2012年に行ったインタビューの記事です。コンテンツマーケティング初期の記事なのでこれからコンテンツマーケティングについて勉強したい方に分かりやすい内容になっています。

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