新入社員のためのコンテンツマーケティング入門(5) ペルソナの作り方

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ペルソナとは?

ペルソナとは顧客の属性や心理状態を詳細に記述した人物像です。ペルソナは元々ソフトウェア開発のために、1980年頃から使われ始めました。それまでは、要求された仕様を満たすことだけが重視され、ユーザーをよく知らずに、ソフトウェア開発が行われることが多く、商品化されたソフトが難しくて使いにくいという問題が生じていました。そこでソフトウェア開発者のアラン・クーパーが、ユーザーを代表する人物像、つまりペルソナを用いて製品開発を行い、使い勝手の良いソフトウェアを生み出すことに成功したのです。その後ペルソナを用いた手法が、デザインやマーケティングなどの他業界へも浸透していきました。

アラン・クーパーが主催するワークショップCooper Uでの風景

コンテンツマーケティングでも、このペルソナを利用します。コンテンツマーケティングにおけるペルソナとは、見込客を代表する人物を詳細に記述したものです。使い勝手を改善するためにアラン・クーパーが生み出したユーザーペルソナと区別するために、バイヤーペルソナ、あるいはマーケティングペルソナと呼ばれることもあります。

従来のセグメンテーション(市場を属性別に細分化すること)で利用されていたデモグラフィック分析(年齢、性別、居住地などで分類すること)やサイコグラフィック分析(趣味嗜好、ライフスタイルなどで分類すること)と違い、見込客を群で捉えるのではなく、ある特定の一人にまで人物像を絞り込んで理解します。(1つのセグメンテーションにつき一人という意味であり、通常は一つの商品やサービスに対して複数のペルソナを設定する。)一人だけに絞り込んでしまうと本当にそのセグメンテーションの代表になり得るのかという不安はありますが、ユーザーの抱えている困り事や問題がイメージしやすくなり、それを解決するためのメッセージ戦略やアプローチ方法が設計しやすくなります。最初のうちはペルソナを数多く設定するのではなく、2つか3つから始めることをお勧めします。

ペルソナを作成するメリット

30代独身男性、会社員、年収400万円といった情報だけでは、メンバーそれぞれが別々の人物像を思い描き、話がかみ合わないことがあります。ペルソナを作成すると、見込客像が無味乾燥なデータの塊ではなく、人格を持った一人の人物として具体的にイメージしやすくなり、以下のようなメリットがあります。

  1. 一人に絞り込むことで、生活がイメージしやすくなり、見込客が抱えている困りごとや問題点を発見しやすくなる
  2. 一人に絞り込むことで、共感しやすくなり、見込客視点の鋭いメッセージを開発できる。
  3. 関与者全員でイメージを共有できる。

ペルソナ設定の手順

さてそれではペルソナの設定手順について説明します。以下の6つのステップで設定していきます。

  1. 既存のお客様から理想的なお客様を見つけ出す。

    一般的には上位2割のお客様が理想的なお客様と言われます。この上得意客に共通する属性について書き出していきます。この段階で2つか3つの仮のペルソナを作成しましょう。

  2. インタビューする。

    ステップ1で発見した属性を満たす既存客にインタビューを行います。数多く実施できれば理想的ですが、一つのペルソナあたり、3人から5人でも十分な情報があつまります。

  3. セールスパーソンに確認する。

    お客様と数多く接しているセールスパーソンの意見を聞くことも重要です。お客様にインタビューするだけでは発見できない事実が判明することがあります。

  4. ペルソナ像を書き出す。

    ステップ3までの情報に基づき、ペルソナ像を書き出します。(後述のペルソナ設定シートの作り方参照)

  5. 設定したペルソナがどれくらい存在するか検証する。

    ステップ4で設定したペルソナが実際にどれくらい存在するのか、アンケートを実施したり、統計データなどを用いたりして検証します。

  6. 実際に運用しペルソナを修正する。

    ペルソナを設定して運用していくと、想定とは異なる事実が判明していきます。定期的にペルソナ設定を見直し、実像に近づけていきます。

ペルソナ設定シートの作り方

ペルソナを詳細に描きすぎても、時間とコストがかかるだけです。見込み客が認知から購入に至るためにどんな情報を必要としているのかを知るということを目的とし、些末な情報の描写に夢中にならないようにしましょう。以下はペルソナ設定シートのサンプルです。

ペルソナ設定シートのサンプル

上記サンプルの各項目について説明します。

プロフィール情報

まずペルソナに名前をつけましょう。上記のプロフィール欄は一例ですので、全てを埋める必要はありませんし、これ以外の項目を追加してもかまいません。商品やサービスによって適切な項目を設定しましょう。人物の写真については、あった方がイメージを共有しやすいのですが、美男美女の写真だらけにならないように注意しましょう。

商品の認知レベル

見込客の商品認知レベルを確認することは重要です。コピーライティングの基本ですが、見込客の商品認知レベルによって言うべき内容が全く異なってくるからです。以下の5段階の認知レベルの、どの段階にあるのかをペルソナの構成要素として押さえましょう。

レベル1:商品のことをよく知っているし、欲しいと思っている。

レベル2:商品のことを知っているが、他の商品と迷い決めきれない。

レベル3:ニーズはあるが、商品のことは知らない。

レベル4:困りごとがあるが、どう解決してよいかわからない。

レベル5:商品にもニーズにも気づいていない。

情報ニーズ

この欄の情報が一番重要です。商品を欲しいと思った最初のきっかけは何であったのか。自社の商品やサービスを購入するまでのプロセスで、どういった情報を必要としていたのかを記述していきます。

  1. 商品を買いたいと思った最初の動機

    困っている事や抱えている問題が何であったのか。あるいは、それまで使っていた商品が壊れたので急に必要になったなど、購入のきっかけとなった動機をヒアリングします。

  2. 検討段階で探した情報、検索キーワード

    商品を検討する上で一番知りたかったのはどんなことなのか。どんな情報がなくて困ったのか。どんなキーワードで検索したのか等をヒアリングします。

  3. 商品の選択基準

    デザイン、使いやすさ、価格、お店の近さ、購入決定のポイントなど、購入時の選択基準をヒアリングします。

以上がペルソナ設定の概要です。次回はカスタマージャーニーマップの作成方法について説明する予定です。

より詳しい内容を知りたい方は、是非下記の書籍をご一読ください。

  • Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書

    著者:株式会社日本SPセンター サイズ:B5変形判 定価:本体2,000円+税 発刊日:2015年12月18日

    ISBN:978-4-8443-6561-7

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以下はアメリカでコンテンツマーケティングが盛り上がり始めた2012年に行ったインタビューの記事です。コンテンツマーケティング初期の記事なのでこれからコンテンツマーケティングについて勉強したい方に分かりやすい内容になっています。

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